FEMtoolsモーダル・パラメータ・エクストラクター(MPE/LMPE)
周波数応答関数およびクロスパワー・スペクトルからモーダル・パラメータを推定します。
FEMtoolsモーダル・パラメータ・エクストラクター(MPE/LMPE)モジュールは、1セットの周波数応答関数(FRF)およびクロスパワー・スペクトルからモーダル・パラメータを推定するための実験/解析モーダル・アドオン・モジュールです。
概要
モーダル・パラメータ・エクストラクター(MPE/LMPE)モジュールは、1セットの周波数応答関数(FRF)およびクロスパワー・スペクトルからモーダル・パラメータ(固有周波数、モードシェープ、モード減衰)を抽出するためのツールです。MPE/LMPEはインストールされると、FEMtoolsフレームワークやその他の任意のFEMtools構成において、アドオン(拡張機能)システムとして使用することができます。
主な特徴
MPE/LMPEは、対話式の優れた操作性により統合され、次のような特徴をもっています。
- モーダル・パラメータの推定には、ポリレファレンス最小二乗複素関数法(pLSCF)が使用されます。
- 安定化ダイアグラムに基づいた自動/手動のポール(極値)の選択機能
- 狭域、広域のバンド抽出法(最小/最大の周波数設定)
- バンド外モードの剰余モードの考慮
- 複素モードシェープ、正規モードシェープの抽出
- MAC、複素モード解析、FRFシンセシス、モードシェープ・アニメーション、FRFプロットなどの機能
- GUIウィザード操作、コマンド操作のサポート
FEMtoolsフレームワークへの追加による実験モーダル解析
- 測定FRFのインポートおよび推定されたモダルパラメータのエクスポートはユニバーサル・ファイル・フォーマットを介して行われます。また、スクリプトを使用し、任意のフォーマットもサポート可能です。
- 時刻歴データをインポートし、スクリプトを使用してクロスパワー・スペクトルを計算することが可能です。
- モードシェープ・アニメーション、FRFプロットなどを表示します。
- スクリプトを使用したエクストラクター操作により、自動データ処理が可能なモーダル・エクストラクターの統合化
応用
FEMtoolsモーダル・パラメータ・エクストラクター(MPE/LMPE)モジュールは、運転(実稼動)時の条件下で得られた周波数応答関数(FRF)および時刻歴データからモーダル・パラメータ(固有周波数、モードシェープ、モード減衰)を推定することもできます。
一般に、FRFは実験加振(ハンマー、シェーカーなど)を使用して得られます。例えば、FRF応答信号の加速度データは、既知の加振信号で除算されます。それらのFRFからカーブフィット手法によって、モーダル・パラメータが識別されます。一方、運転時や実稼動時の条件下では、加振信号値(次元/単位)は未知であり、正しいFRFを得ることはできません。そのため、この場合には、クロスパワー・スペクトル関数からモーダル・パラメータを抽出することが可能です。
FEMtools
MPE/LMPEは、モーダル解析用のスタンドアロン・ツールとして使用することができます。標準のFEMtools構成にアドオンし、モーダル・パラメータを抽出するために使用することができます。
- 構造ダイナミクス -
動解析は時間または周波数領域で応答解析、構造変更シミュレーション、モーダル・カップリング解析のためのモードシェープの推定に依存します。
- プリテスト解析 -
モーダル・エクストラクターは、仮想実験プロセスとしてシミュレート・テストデータを使用することができます。
- 実験/解析のモーダルの相関分析 -
実験モード結果とシミュレーション結果を比較し、相関分析が可能です。
- FEモデルアップデーティング -
有限要素モデルと実験モード間の相関性の改善によりモデルアップデートが可能です。
- FRFシンセシス -
抽出されたモーダル・パラメータから実験FRFをシンセシスすることができます。これによって、それらのFRFからFEモデルのFRFベースのモデルアップデーティングが可能です。
- 剛体プロパティ・エクストラクター -
剛体プロパティ・エクストラクターによって、質量特性を得るために、第1の共振ピークをFRFから除去することができます。モーダル・エクストラクーは、第1のモードシェープを除去し、シンセシスすることことによって実行します。
- 材料特性の識別 -
実験振動解析によって、複合材料特性の識別に利用することができます。モーダル・パラメータ・エクストラクターは試験サンプルのモードシェープを識別する方法を提供します。
- 構造寿命モニタリング -
モーダル・パラメータ・エクストラクターは構造中のモーダル・パラメータの自動モニタリング用システムとして使用することができます。
利点
- 操作性 -
MDOF多項式カーブフィット手法において、最小のユーザー操作によって実行されます。例えば、ポール(極値)を自動的に選択することができます。
- 高度な実験解析 -
MPEは、既存のコンピューティング環境を最大限に利用し、効率的なアルゴリズムが使用されます。64ビットのプラットフォームでは、メモリ容量制限を受けることなく、多チャンネルおよび広域周波数レンジに対応して実行することが可能です。
- 効率性 -
最小二乗法(pLSCF)は非常に正確で安定化した結果を推定し、推定された極値は安定化ダイグラムによって示されます。
- 信頼性 -
MPEは、そのパワフルな多項式カーブフィット手法によって、高精度の固有周波数、減衰、モードシェープを推定します。剰余効果や計算精度を改善するためにバンド外モードを考慮することもできます。
- 柔軟性 - MPEは、マニュアル操作および自動プロセス化が可能です。
ライセンス方法
MPE/LMPEツールは、任意のFEMtools標準構成ライセンスに新たなライセンスの追加を必要とします。
インターフェイス・アプレット
FEMtools
MPE/LMPEユーザー・インターフェイスでは、FRFセレクション、カーブフィット・プロセス、安定化ダイアグラム、モードシェープ、オーバーレイFRFプロットおよびAutoMACプロットなどが操作されます。

FRFセレクション(MPE)

安定化ダイアグラム(MPE)

モードシェープ、MAC、カーブフィット(MPE)

モードシェープ、カーブフィット評価関数(LMPE)
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